青色申告とは

確定申告の方法の1つとしてとっつきにくく難解だと思われがちな青色申告とはどのような方法なのでしょうか?

青色申告を選択することのメリットとデメリットを含めながらご紹介していきます。

確定申告における青色申告とは?

まず青色申告についてですが、一定の水準で帳簿をつけることを前提に取り入れることができる確定申告の方法です。つまり条件を満たさないと誰もが利用できるわけではありません。そこがハードルを高くしてしまっている要因とも言えます。

しかしその一方で特典が受けられるなどメリットが多いのもその特徴です。

青色申告は2種類!

青色申告と一言にいっても実は2つの種類があることをご存知でしょうか?それは控除を受けることが可能な額によって異なります。

帳簿付けの方法において「簡易簿記」もしくは「現金式簡易簿記」を選択した場合は10万円の控除を受けることができます。一方、「複式簿記」を選択した場合においては65万円の控除が可能となります。

青色申告の控除が変わる簿記の種類とは

では少し難しい話になりますが、帳簿をつける簿記には3つの種類があります。

1つ目

もっとも簡易だとされる「簡易簿記」であり、記帳は発生主義で行われます。現金出納帳のみの記帳が基本です。

2つ目

「現金式簡易簿記」という方法で、現金主義で記帳を行います。この方法を取れるのは確定申告をしようとする年の前々年度の所得が300万円以下であることが条件とされています。現金出納帳に加えて、売掛金、買掛金、経費帳、固定資産台帳を備える必要があります。

3つ目

「複式簿記」であり「簡易簿記」と同様に発生主義で記帳を行います。総勘定元帳や仕訳帳、さらに必要に応じて「現金式簡易簿記」で求められる帳簿や給与台帳が取り入れられます。

「複式簿記」になるとマニュアルでの記帳はどうしても手間がかかるため、会計ソフトを利用して行うのが一般的です。会計ソフトを利用すれば、簿記の考え方を知らない初心者でも簡単に正式な記帳が可能となります。

青色申告のメリットとデメリット

ではここからは青色申告を取り入れることのメリットとデメリットについて考えていきましょう。

青色申告のメリット

まず青色申告のメリットを4つご紹介していきましょう。

1つ目

「特別控除」の存在です。これは青色申告最大のメリットも言われ、前述した10万円もしくは65万円の控除を指します。

2つ目

「赤字の繰り越しが可能」であることです。赤字、つまり損失の繰り越しは3年間行うことが出来ます。しかも損失を全額繰り越すことが可能であるため、税金対象となる課税金額が少なくなり、支払う税金が減ることとなります。つまり翌年以降の節税に繋がるのです。

3つ目

「青色事業専従者給与」を経費として参入することができるという点です。「青色事業専従者給与」というのは簡単に言うと、家族などに事業を手伝ってもらいそこに支払う給与を指します。良くあるのが旦那さんが事業を奥さんに手伝ってもらうというケースです。家族に給料を払うため、家庭としてみると収入が増えますが、会社としてはそれを経費として考えるので売上から差し引くことが可能です。つまり、経費が増え税金を安く抑えられます。

ただし「青色事業専従者給与」と認められるには一定の条件があることと、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要な点は知っておかなければいけません。

4つ目

「少額減価償却資産の特例」です。簡単に言うと、減価償却が必要な試算であっても30万円未満であれば、購入した年に一括で経費として計上が可能です。つまり、こちらも節税に繋がりますね。利益が出たときにお得に利用できる方法ですが、合計限度額が300万円以内と決まっている点は注意しておきましょう。

青色申告のデメリット

では青色申告のデメリットも確認しておきましょう。

1つ目

記帳する帳簿が多数存在するという煩雑さでしょう。しかしこちらは前述したように会計ソフトなどを利用すれば解決可能です。

2つ目

事前に税務署に届出が必要である点です。これを忘れると青色申告のメリットを受けることが出来なくなってしまいます。提出する書類は「所得税の青色申告承認申請書」であり一度だけで構いませんので、青色申告を初めて行う方は確定申告をする年の3月15日までに提出しておきましょう。

ちなみに開業して青色申告を利用するときは2つの期限があります。確定申告を行う年の1月16日以降に開業した場合は、開業日より2ヶ月以内、1月1日から1月15日の間に開業した方は3月15日までに届出をしましょう。

ちなみに青色申告をしようとしていたが、帳簿つけがうまくいかず、白色申告に変えたいという場合も途中切り替えは可能です。それに関しては特典が受けられないだけであり、届け出や連絡は不要ですのでご安心ください。

煩雑だとされる一方、事業を行う人にとっては非常に多くのメリットがあるのが青色申告だと言えるでしょう。