確定申告を行う際に白色申告においても青色申告程ではありませんが様々な控除を受けられます。その1つとして注目したいのが「専従者控除」です。
専従者控除は青色申告にもありますが白色申告のそれとは異なる点もあります。それぞれの違いや計算方法、さらに上限額について確認していきましょう。
確定申告で関係する専従者控除とは?
まず確定申告において「専従者控除」ってそもそも何?というところからご紹介します。専従者になるには条件があるので合わせてお届けしますね。
専従者とは?
まず専従者とは何かという基礎から見ていきましょう。
正式には事業専従者と表現されます。これは事業を行っており確定申告が必要な事業者に関係することであり、白色申告でも青色申告においても該当します。まずはどういう人がそれにあたるのかをご紹介します。
・上記の事業者と生計を共にしている配偶者もしくは15歳以上の親族であること
・上記の事業に1年間のうち6カ月以上従事していること
この2つの要件が必要です。ちなみに生計を共にしているというのは必ずしも同居をしている必要はありません。いうならば1つの財布で生活していれば別の場所に住んでいても問題ありません。
専従者控除とは?
では専従者控除とは何かをみていきましょう。
この制度は個人事業主だけが認められている特権です。白色申告の人が上記であげた専従者に仕事を手伝ってもらいそれに対する給与を支払った場合、一定額を「事業専従者控除」という形で控除してもらうことができる制度です。控除に関しては確定申告時に行います。
白色申告の専従者控除と青色申告の違い
専従者控除は専従者に支払う給与の一定額を控除してもらえることというのは理解できたかと思います。ここからは専従者控除において白色申告と青色申告で異なる点をご紹介します。
専従者控除を受ける条件
まず専従者控除を受けるための条件からみていきましょう。白色申告の場合は2つ条件が存在します。
・白色申告にて確定申告を行う方に事業専従者がいること
・確定申告時に遅滞なく必要事項を記入し申告すること
青色申告については上記の条件にプラスして事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を確定申告を行う税務署に提出しなくてはいけません。提出期限は確定申告を行う年の3月15日までです。つまり2017年度分であれば2017年の3月15日までとなります。1月16日以降に開業した事業者もしくは専従者給与制度を会計年度の途中から始めた方は、開業日及び専従者給与支払日から2カ月以内が期限となります。
専従者給与は経費扱い?
白色申告では経費として処理することは不可ですが、青色申告を選択した場合全額を経費として処理することが可能です。
つまり青色申告だと専従者控除を受けることで支給総額が控除される上に、経費としても処理できダブルでお得となります。
白色申告の場合は支給総額のうちの決められた一定額のみが控除されるに過ぎません。
白色申告の専従者控除の計算方法
では白色申告の専従者控除でどのぐらいのメリットが出るのか計算していくために、計算式をご案内します。
白色申告の専従者控除の計算
専従者控除額=事業所得等÷(専従者の人数+1)
収入が400万円、経費200万円で専従者が1人いると仮定して計算していきましょう。
事業所得等=収入400万円-経費200万円 → 200万円
専従者控除額=200万円÷(1+1) → 100万円
では100万円が控除を受けられるのかと言えば上限額があるので、それを超える額は控除されません。専従者との関係性で異なりますので以下をご覧ください。
・自身の配偶者が事業専従者の場合→86万円
・配偶者ではない15歳以上の親族の場合→50万円
つまり100万円と計算上は出てきていますが、86万円もしくは50万円が所得控除となります。
白色申告の専従者控除は併用できる?
白色申告において専従者控除を受けようとする場合、配偶者控除を受けることは可能なのでしょうか?
結論から言うと両方を併用して控除を受けることはできません。いずれか一方になりますので例え配偶者に支払う事業者給与を103万円以下に抑えたとしても配偶者控除は受けられません。
また配偶者でなくとも扶養親族という扱いにすることもできませんので注意しておきましょう。
つまり白色申告で確定申告を行う方は申告前に今一度、専従者控除を受けることと配偶者控除もしくは扶養親族にすることのどちらにメリットがあるのかを確認しましょう。これは事業としての考え方と家計としての考え方がありますので両側面から考える必要があるでしょう。家計つまり配偶者の場合、専従者控除も年間所得の一部となってしまうからです。
確定申告における専従者控除のうち主に白色申告についてご紹介してきましたが、合わせて青色申告との比較もしていますので申告方法を選択する材料としても生かしてくださいね。また専従者控除と配偶者控除を含めた他の控除のどちらを選択するかも考えていきましょう。