確定申告の方法には白色申告と青色申告の2つがあります。
今回はその中でも白色申告に着目し、白色申告の基礎知識とメリット、デメリットを確認していきましょう。
確定申告における白色申告とは？
白色申告というのは、青色申告に比べて比較的簡易な方法で行う確定申告の方法です。帳簿付けも複式簿記ではなく単式簿記での記帳が認められています。そのため、初めての確定申告の場合は敷居が低くなるとも言えます。
基本的に税務署に対して特に申告せずに確定申告を行う場合は、自動的に白色申告となります。
ちなみに白色申告の税金計算も非常に簡単です。
1年間の売上額-必要経費＝事業所得
上記で求められた事業所得に対して、税金を支払うといったスタイルになります。1年間というのは1月1日〜12月31日までを指しますので知っておきましょう。
白色申告のメリットとデメリット
続いては、白色申告で確定申告を行う場合のメリットとデメリットをご紹介していきましょう。
白色申告のメリット
まずは白色申告のメリットについてですが、大きく分けて2つあります。
メリット その1
1つ目は「帳簿付けが非常に簡単」であるという点です。単式簿記が認められているので帳簿付けに苦手意識がある方には大きなメリットでしょう。
具体的にご紹介すると、売上や収入に関しては納品書や請求書があれば1件1件帳簿につける必要がなく1日まとめての金額を記帳することが可能です。また現金売上の場合も1日まとめての記帳が認められています。これは仕入れに関しても同様です。また経費に関しても少額であれば1日まとめて記載して差し支えありません。
ただしゆくゆく青色申告を利用する可能性がある方は、帳簿に記載する件数が少ないうちに慣れておくために、1件1件帳簿につけるのも1つの方法でしょう。会計ソフトなどを利用すれば、勘定科目を選択し金額を入力するだけなので非常に楽に記帳ができますよ。
メリット その2
2つ目のメリットは「事前申請が不要」という点です。青色申告と違って事前申請が不要であるため、面倒な手続きをとらなくても済みます。また万が一青色申告の申請を仕損じた場合も白色申告を利用して確定申告が可能です。
白色申告のデメリット
白色申告は簡単で手間がかからないのがメリットですが、逆にデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか？メリットと同様2つデメリットが存在します。
デメリット その1
1つ目は「青色申告にある特典が利用できない」という点です。青色申告を選択すると、10万円もしくは65万円の青色申告特別控除を受けることが可能です。この分支払う税金が安くなるのでデメリットだと言えるでしょう。もう1つの特典は、奥さんなどに専従者給与を支払っている場合に、その給料を経費として処理することです。白色申告では専従者給与を経費にすることが出来ないので、支払う税額が増加してしまいます。
デメリット その2
2つ目のデメリットは、赤字を繰り返すことができないという点です。赤字を繰り越すことができれば、翌年に支払う税額がその分安くなるメリットがあります。しかし、白色申告にはそれが認められていないため、赤字の繰り越しはできません。
このように白色申告には税金を安くするための特典を受けることができないというデメリットが潜んでいます。
白色申告にも記帳義務がある？
白色申告は記帳を簡易に済ませられるという点が最大のメリットではありますが、平成26年度から法改正にもともない、前年もしくは前々年の所得が300万円未満の方であっても、2つの義務が課されることとなっています。
1つ目は帳簿の記帳、2つ目はそれらの帳簿の保存義務です。
1つ目の義務「帳簿の記帳」
帳簿は前述した通り、単式簿記で問題はなく1日単位でまとめて記帳することに問題はありません。帳簿を付けなくてはいけない方は、事業所得を得ている方はもちろん、山林所得や不動産所得者も該当します。また、1年間の売上額-必要経費＝事業所得に計算したところ赤字であったとしても、記帳する義務は生じます。そもそも赤字かどうかを計算するためには、なんとなくではなく記帳を会計ソフトなどを使ってしておくことをおすすめします。
2つ目の義務「帳簿の保存義務」
2つ目の帳簿の保存義務についてですが、保存期間が5年から7年になっています。もちろん赤字であるとか所得が300万円を超えているとかといったしばりはなく、白色申告を行うすべての人に7年の保存義務が課せられます。
そのため、帳簿づけを行うだけでなく、また確定申告が終わったら捨ていいという訳ではありません。7年間は保存しなくてはいけないということを覚えておいてください。税務署の後の調査で保存していない場合は、罰則対象にもなりますので気を付けましょう。
白色申告は簡易な単式簿記で記帳でき、事前の申請が不要というメリットがある反面、特典が受けられない、赤字を繰り越せないというデメリットも持ち合わせています。確定申告初心者は白色申告からのスタートでも構いませんが、青色申告移行への練習と考えておくのも１つの考え方でしょう。
