白色申告は基本の申告方法となるため、起業後すぐの方の多くが利用している申告方法だと思います。しかし、平成26年からは白色でも記帳や書類保存が義務化されてしまったため、以前よりは負担が大きくなってしまいました。
もちろん、青色よりは簡単な記帳で済むため楽ではあるのですが、白にメリットはあるの?と考える方が多くなってきています。そんな方にお伝えしておきたいのが、白でも適用される控除についてです。
今回はその中のひとつ“家内労働者の特例”についてお話していきましょう。適用できるかどうかの条件についてなど、詳しく解説しておりますのでぜひ参考にしてみてください。
白色申告の控除について
事業主が受けられる控除の種類はたくさん存在します。これは白でも青でも関係なく、全ての方が適用されるものとなっています。例えば雑損・医療費・寄附金などがありますね。
これに加えて白だけに存在するのが専従者控除です。青では経費にできる制度となっていますが、白では経費ではなく専従者へ支払ったお給料のうち上限内であれば控除してくれるという制度です。
ここまではご存知の方も多いと思いますが、“家内労働者の特例”については知らない方も多いと思います。適用できる控除であれば積極的に受け、納税額を減らすことで大きな節税対策になります。まずはどのような制度なのか、概要についてみていきましょう。
家内労働者の特例とは?
この制度は、実際に支払ったものでなくとも65万円までは経費としてみとめてくれるというものです。
本来であれば、仕事を行うにあたって必要となったボールペンやノート、工具や器具を購入した場合にのみ経費として計上できます。しかしこの制度を利用すれば、たとえ購入していなくとも、上限65万円までなら経費として計上することが可能なのです。
個人で事業をされている方ならお分かりかと思いますが、経費があまりかからない職種というものは存在します。そうなると、所得から差し引くものが少なく、課税される額も大きくなってしまいます。
そんな方に利用して頂きたいのがこの制度なのです。
あなたは当てはまる?特例適用の業種
ただ、誰でも利用できるわけではありません。ある一定の条件を満たしている必要があります。基本ポイントは以下の2つです。
・特定の方へ継続的なサービスを行っている
・販売ではなくあくまでもサービスであること
これだけを見ると、ほとんどの人は該当しないのでは?と思われるかもしれませんね。具体的な業種をご紹介しながら解説していきますので、あなたの場合は該当するのかどうか、チェックしてみてください。
1.内職
2.アフィリエイター
3.保険外交員
4.ヤクルト配達員
5.特定の会社から依頼されているライター、ウェブデザイナー
6.専属モデル
7.NHKの集金
8.ユーチューバー
9.特定の会社所属の講師
これを見ると分かるように、あくまでも特定の人や会社に対してという要件が必須となっていることが分かります。
講師を例に挙げて詳しく見ていきたいと思います。
例)英会話講師
・Aさんは自宅に教室をかまえ、生徒に英語を教えています。
・Bさんは○○英会話の会社に所属しており、自宅で生徒に教えています。
この場合、適用されるのはBさんのみです。
同じように自宅で教えているにもかかわらず、どうしてAさんは適用されないのかというと、
1.自ら教室を開いている
2.不特定多数の生徒に教えている
この2つが理由になります。ただ、例え一定の方にのみ提供しているサービスであっても、事務所や教室を持っているだけで適用外になってしまうので注意しておきましょう。
経費がかさむなら青色申告を
家内労働者の特例については、経費が少額である場合のみ受けることができます。上限である65万円を超える経費が年間かかっているのであれば、適用外となってしまうのです。
しかし、経費がかかるのであれば対策として申告方法を変えることで節税効果を得ることが可能です。実はこの制度、白のみに存在するものではなく、青色でも利用することが可能なのです。
青色申告の場合、特例を利用するとどうなる?
青色の場合でも要件に変化はありませんが、特別控除を利用することでさらに65万or10万円の控除を上乗せすることができます。すると最大で130万円もの控除を受けることができるということです。
ただ、最大控除を目指すとなると、今までできていた簡単な記帳はできなくなります。複雑な簿記を用いた複式簿記にて帳簿をつけていくことになり、そういった面では少し負担は増えてしまうかもしれません。
白色の帳簿付けに慣れている分、煩雑に感じるかもしれませんが、おすすめなのは会計ソフトを導入する方法です。口座情報から全て読み込ませておくことで、取引やお金の動きをスムーズに記帳していくことができます。
利益を大切にしなければならないのはもちろんですが、ほんの少しの出費でミスなく確実な帳簿付けができるのであれば、導入して損はないと言えるでしょう。