確定申告後の税務調査

確定申告の方法やその為の日頃の帳簿つけも大事ですが、それ以外でみなさんが気になることといえば「税務調査」でしょう。税務調査に入られて追徴税を取られたという話を耳にしたことがある方もおられるかと思います。

今回は確定申告後の税務調査の基礎と流れについて、また税務調査が入ったとしても焦らないようにしておきたい備えについてお話していきます。

確定申告後の税務調査とは?

まずは税務調査とはどういうことを調べるのか?また税務調査の入りやすいタイミングについて見ていきましょう。

税務調査の内容

税務調査と一言でまとめて表現されますが、強制捜査と任意捜査の2種類があります。いずれも国税通則法にのっとって税務職員により行われるものです。

強制捜査というのは滞納処分が下される前に行われるもので自力執行権をもって執り行われます。一方の任意捜査というのは、確定申告が正しいかどうかの内容確認や申告漏れがないかを調べるために行われます。

よってみなさんが一般的に受ける可能性があるのは任意捜査となります。

確定申告時には、領収書や日々の帳簿類などを提出することはありません。そこで申告された内容と帳簿などの内容が一致するのかどうかということや申告がなされていない収入などがないのかといったことを突き合わせて調べていきます。同時に質疑応答なども行われるのが一般的です。

税務調査のタイミング

では税務調査が入るタイミングをみていきましょう。

税務調査は基本的に1年間を通じて行われていますが、確定申告締切前後つまり2月中旬から3月下旬ぐらいまではあまり行われていないようです。

また確定申告をしている人全員に対して税務調査が行われるわけではありません。ある程度ターゲットを絞って調査が行われています。以下に具体的に税務調査が入りやすいケースをご紹介します。

・業績が急激に変動した場合(業績が大きく伸びただけではなく、落ちた場合も該当)
・開業5年以内である事業が好調な場合
・所得額が極端に少ない場合
・確定申告の内容と税務署が算出した業種別の利益率データに開きがある場合
・業績が大幅に伸びたにもかかわらず、資金や在庫などが不自然に少ない場合

つまり前年、前々年との比較や業績の変動などが大きくある場合は注意しておかないといけません。

税務調査の流れとその後?

実際に税務調査が行われる場合どのような流れで行われるのか、またもし税務調査で誤りなどを指摘された場合はどうなるのかについてご紹介します。

税務調査の流れ

まず税務調査は基本的にいきなり来ることはありません。1週間ほど前には連絡が入ります。もし顧問税理士を雇っている場合はそちらにも連絡があります。

事前連絡がある内容は以下の通りです。

・税務調査が行われる開始日
・税務調査場所
・対象となる税目
・対象となる会計期間

ただし事前に通知することで税務調査に影響が出ると判断された場合は、通知されないこともあります。

税務調査日当日に必ず聞かれるのが「事業概要」です。それによってミスを犯しやすいポイントや申告漏れがありそうな箇所を把握するのです。

大抵の場合、税務調査は2〜3日程度行われ、過去5年間程度の帳簿や請求書、納品書、発注書などを確認していきます。これは遡って調査できるのが5年間までだからです。

税務調査で問題があった場合

税務調査において万が一申告漏れや誤りを指摘された場合ですが、新たに納めることになった税金を納付することに加えて、さまざまなペナルティとしての追加納付が必要となります。

過少申告加算税や無申告加算税といった加算税や悪質な所得隠しが認められれば重加算税も発生します。また納期限を超えてしまうことで発生する延滞税なども対象となります。

ただしもし税務調査で指摘された内容に異議がある場合は修正申告をしてはいけません。修正申告後は異議申し立てができなくなります。もし納得がいかない場合は所轄の税務署に対して申し出を行いましょう。

税務調査に向けての備え

税務調査は怖いものという意識が強いものですが、きっちりと正当な処理をしていればそこまで心配することはありません。

以下に日頃から注意しておきたい点をご紹介しますので覚えておいてください。

・税金を不当に安くしようという意識を持たないこと
・特に個人事業主の場合は業務用の銀行口座と現金と個人用を完全に分離しておくこと
・領収書は必ず保存しておき、事業との関連性を説明できるようにしておくこと
・税務調査の日程は打ち合わせの上設定すること
・税務調査に職員が来た際には調査官の身分証明書を提示してもらうこと

最も大切なのはこのぐらいはいいだろうとごまかそうとしないことです。また税金を安くしたいのは誰しも思うことですが、正当な方法で行うように意識してください。

税務調査はもしあなたのところに連絡が来た場合は、それを拒否することはできません。しかし日程調整などは可能なので、同意の上日程を設定し、調査を受けるようにしましょう。もちろんですが、健全な記帳を心がけてくださいね。